Logicの動作が重いと作業がスムーズにこなせなくなってしまいます。
システムが過負荷ですと表示されたり、システムのオーバーロード警告が表示されたり、音が途切れノイズまみれになったり、突然落ちたり……と症状は様々ですが、
頻繁に起こってしまうと創作意欲も無くなってしまいますよね。
少しでも快適にDTMが出来るよう、この記事ではLogic pro xが重い時の対処法を8つご紹介いたします。
オススメは1と5と7なので、急いでいる方はまずそこから読み始めると良いかも?
- 0.他のソフトを閉じる
- 1. 【I/O バッファサイズ】の数値を上げる
- 2. 【プロセス・バッファ・レンジ】を大きくする
- 3.【マルチスレッド処理】の設定を見直す
- 4. まとめられるトラックはセンド、場合によってはサミングスタック
- 5.【フリーズ機能】をオンにする
- 6. プロジェクトのサンプルレートを確認
- 7. 代替プロジェクト(バージョン)で作業を段階化する
- 重いと感じる原因がスペック以外にある場合も…
- もっとも効果的なのはパソコンを買い替えること
- 終わりに
0.他のソフトを閉じる
Logic Pro Xに限った話ではないですが、制作ソフトは全体的にCPUやメモリに負荷をかけやすいです。
なので他のソフト、特にシステムへの負担が大きいものはきちんと閉じて下さい。
ブラウザも大量にタブを開いているのなら負担が大きくなってしまいますので、Logicを開く前に閉じておきましょう。
1. 【I/O バッファサイズ】の数値を上げる
期待値 : ★★★★☆
手軽さ : ★★★★★
他のLogicブロガーさん達も、重い時の対処法として挙げているくらい効果的でメジャーな対処法です。
バッファサイズの数値を上げる事によって、レコーディングや再生時に生じる遅延を意図的に増やし、その分システムへの負荷を軽減させることができます。
「遅延はレコーディングやリアルタイム入力を考えている人にとって致命的では?」と思っちゃうかもしれませんが、低レイテンシモードと併用する事でバッファサイズ変更後も少ない遅延でのレコーディングが可能です。
I/O バッファサイズの変更方法
Logic起動後、画面上部の『Logic Pro X』から
環境設定 > オーディオ > I/Oバッファサイズ
の順番で変更する事ができます。
デフォルトでは128になっていると思いますが、ここの数値を大きくする事でシステムへの負荷軽減が期待できます。
私はほとんどレコーディングをしないので、基本的に最大値に設定しています。
2. 【プロセス・バッファ・レンジ】を大きくする
期待値 : 不明(Appleはシステム過負荷なら試すことを勧めている)
手軽さ : ★★★★★
Apple サポートによると、I/O バッファサイズと同じように遅延に関する設定のようで、システムへの負荷を減らしたい場合は『大』にした方が良いようです。
『大』と『小』とではどれほどの違いがあるのか検証してみましたが、全然効果が分からなかったので期待値は不明と表記しました。
Appleが推奨しているので、きっと効果があるのでしょうけど…
プロセス・バッファ・レンジの変更方法
(I/Oバッファサイズと同じところで変更します。)
Logic起動後、画面上部の『Logic Pro X』から
環境設定 > オーディオ > プロセス・バッファ・レンジ
の順番で変更する事ができます。
デフォルトでは『中』になっていたと思いますが、『大』に変更しましょう。
3.【マルチスレッド処理】の設定を見直す
期待値 : ★★★☆☆
手軽さ : ★★★☆☆
マルチスレッド処理を選択する事でCPU(一つのスレッド)への負荷を分散できる可能性があります。
CPUのスレッド数が多いMacを使用していればかなりの恩恵が得られます。
逆にスレッド数が少ないMacだと恩恵が得られないだけでなく、かえって負担が増える場合もあるので要注意です。
(Apple サポート曰く、マルチスレッド処理はシステムへの全体的な負荷が若干大きくなる場合があるらしいです。)
ちなみに私の環境では
Late2013のMacBook(Core i5デュアルコア)だとほとんど恩恵は得られず、
Mid2010のiMac(Core i7 クアッドコア)だと恩恵が得られました。
※iMacはCPU第一世代だったはずだけど…
マルチスレッド処理の変更方法
(I/Oバッファサイズ、プロセスバッファレンジと同じところで変更します。)
Logic起動後、画面上部の『Logic Pro X』から
環境設定 > オーディオ > マルチスレッド処理
の順番で変更する事ができます。
マルチスレッド処理を適用させたい場合は『再生とライブトラック』を選択します。
4. まとめられるトラックはセンド、場合によってはサミングスタック
期待値 : ★☆☆☆☆
手軽さ : ★★★☆☆
全く同じ設定のプラグインエフェクトを挿しているトラックがあるのなら、センドでまとめてしまいましょう。
原音を残したままプラグイン通過後の音と混ぜたい音はセンドでまとめ、コンプなどで一つにまとめてしまいたい時にはサミングスタックでまとめてしまっても良いでしょう。
プラグイン数が減ると少し軽くなるでしょう。
ただし重たいプラグインでない限り、大差はないと思います。
サミングスタックの方はそもそも音が変わってしまうので慎重に…
5.【フリーズ機能】をオンにする
期待値 : ★★★★☆
手軽さ : ★★★★☆
選択したトラックを一時的にオーディオ化する機能です。
ソフトウェア音源やプラグインによるCPUへの負荷を抑える事ができます。
MIDIトラックだけでなく、オーディオトラックに重いプラグインが挿さっている時にも有効な手段です。
ただしフリーズしているトラックは基本的に編集ができません。
フリーズ中にいじれる機能は「音量フェーダー」「パン」「ソロ」「ミュート」くらいです。
なので、しばらく変更する予定のないトラックを一時的にフリーズさせ、編集したくなったらフリーズを外す。という流れで作業を進めることになります。
この機能はCPU不足には有効ですが、メモリ不足の場合はほとんど効果がありません。
メモリ不足が考えられる場合は不要なトラックを消した方が良いと思います。
フリーズ機能の使い方
トラックの上で右クリックすると写真のようなメニューが表示されるので、『トラックヘッダを設定』を選択します。
するとトラックに何を表示させるかを選択できる画面出てくるので、『フリーズ』にチェックを入れてメニューを閉じます。
さっきまで表示されていなかった『フリーズボタン』がトラックに表示されたと思います。
このボタンを押すと色が変わり、色が変わった状態でトラックを再生すると一時的にオーディオデータに書き換えられ、【フリーズ機能】を使う事ができます。
しばらく編集する予定のないトラックをフリーズ化しておくと作業が円滑になるのではないかと思います。
6. プロジェクトのサンプルレートを確認
期待値 : ★★☆☆☆
手軽さ : ★★☆☆☆
オーディオデータを扱う時のサンプルレートを変更する事ができます。
ただ、これは完成した楽曲をどこで配信したいかによっては設定を変えるべきではないので、Logicが重くなったからといってパッと変えられるものでもありません。
そもそもデフォルトが最低値である44.1kHzになっているため、今まで設定を変更した事がない方にとっては無意味かもしれません。
プロジェクトのサンプルレート確認方法・変更方法はこちらの記事をご確認ください。
Logic Pro Xでプロジェクト全体のサンプルレートを変更する方法 - 3dBアゲてみた
7. 代替プロジェクト(バージョン)で作業を段階化する
期待値 : ★★★★★
手軽さ : ★☆☆☆☆
1-7までは設定を変更してみて過負荷を対処するというやり方でした。
『代替プロジェクト(バージョン)で作業を段階化する』の項目では、一度に扱うフレーズやトラックの量を減らすことでシステムへの負荷を減らします。
要は、一気に曲を作るのではなく順番を決めて段階的に曲作りをするという事です。
Logicには【代替プロジェクト(代替バージョン)】という機能がある事をご存知でしょうか?
誤解を招く表現になってしまうかも知れませんが、簡単に説明するとプロジェクトのバックアップを作成する機能です。
例えば、作編曲が終わって今からミキシングを始めるぞー!というタイミングで代替バージョンを作成しておくと、いざミキシングを始めて「やっぱここのフレーズ作り直したいな…」なんて思ったら、すぐに作編曲フェーズへ戻る事ができたりします。
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その機能を駆使して
①ある程度完成した複数のトラックを1つのオーディオファイルへバウンスする。
②バックアップとして代替バージョンを一つ作成する。
③①のオーディオファイルを読み込み、それ以外のトラックを全て削除する。
あとは①のオーディオファイルを聴きながら曲作りの続きを行っていき、またトラック数が増えて重くなってきたら①から③を繰り返します。
ミキシング段階に差し掛かったら、各代替バージョンをトラックごとにパラで書き出して、新しい代替バージョンでミキシングを行います。
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このように代替バージョンを駆使して作業を細かく段階化する事で、
しばらく使う編集する予定のないトラックを一時的に削除でき、システムへの負荷を減らす事が可能となります。
代替バージョンの数が増えると管理が非常に面倒臭くなってしまいまいますが、これまでに紹介した対処法の中で、最も期待できる手段だと思います。
重いと感じる原因がスペック以外にある場合も…
もしソフトウェア音源を立ち上げた時の読み込みが長い時や、再生時に特定の音源だけ音がブツ切れたりするのなら、CPUやメモリが原因ではない可能性もあります。
大容量のサンプラーは極力SSDへ入れましょう
ソフトウェア音源の読み込み速度はCPUやメモリの性能よりも"どこに保管しているか"の影響が大きいです。
特にサンプラーは読み込む量が多いので、HDDよりもSSDに保管しておくと良いでしょう。
音源立ち上げた時や読み込み時、制作中のプロジェクトを立ち上げた時にだけLogicが重いと感じているのであれば、外付けSSDを購入する事で解決する可能性もあります。
外付けドライブのフォーマット形式を確認すること
外付けHDDやSSDを使用している場合、フォーマット形式によっては再生中に音がブツ切れになったり、ソフトウェア音源のプリセットなどが正しく読み込めなかったりする場合があります。
Logicに相応しいフォーマット形式は
・Mac OS 拡張 (ジャーナリング)
・APFS
の2種類で、他の形式になっていると不具合が発生する可能性があります。
ただし、これらのフォーマット形式ではwindowsとの互換性がないので、外付けドライブをwindowsでも使用したいのなら、変更しない方が良いと思います。
もっとも効果的なのはパソコンを買い替えること
パソコンを買い替える決断にはそう簡単に至れないと思いますが、今よりもスペックの高いMacに乗り換える事が一番効果的と言えます。
MacBook Airは最新のものであってもスペックは知れているので選択肢から外すとして、個人的には旧型のMacBook Proを中古で買うのが一番コスパいいかなと。
同じMacBook Proでも13インチより15インチの方が、CPUのコア数が多いので性能の差は歴然です。なので15インチを推奨します。
たとえCPUが同じCore i5であっても、古いモデルか新しいモデルかで性能が大きく違います。購入前にベンチマークスコアをよく見て判断しましょう。
▼Mac PCに搭載されたCPUを比較できるサイト(確認する際は『Multi-Core』に切り替えてから見るようにして下さい。)
Mac Benchmarks - Geekbench Browser
終わりに
冒頭でも書きましたがオススメは1と5と7です。
1と5は色々な方が紹介している対処法なので、ご存知の方も多いかも知れません。
7は手間はかかりますが、1と5よりも大きな効果が期待できるのでオススメです。
ここで紹介した対処法はCPUへの負荷軽減には繋がりますが、恐らくメモリへの負荷軽減には効果が薄いです。
ですので、どうしてもトラック数が多くなる曲を作りたいのならメモリの増設や、 Macの買い替えが必須になってくるかと思います。
読者様のDTMライフが少しでも快適になりますように。
長い記事でしたが、お付き合いいただきありがとうございました。